SIer の功罪
従来の基幹システムの多くは SoR と呼ばれるもので、作るものがはっきりしていた 不具合などがない限りは、しばらくの間リリースした時の状態で使い続けることが前提で、開発の後は運用のフェーズに移る
このやり方は開発者の需要が安定しないため、事業会社はエンジニアを雇用し続けるのを躊躇
SIer はこの需給バランスの調整をする役目としても機能 (事業会社には最低限のシステム担当者のみ存在)
この役割分担が、事業会社の IT 活用や事業の進化を阻んでいる (SIer の利益優先と事業進化が衝突する)
SIer が提供するサービスの多くは、基本は人を大量に投入し、工期が長くなるほど収益が上がるビジネス構造 (契約形態が人月、工数ベース)
本来歓迎されるべき効率化が、SIer に係ると推奨されないということも起こりえる
最近は違った形の契約も増えているようではある
IT を駆使して事業会社の事業価値を高めるために存在する SIer が、自分たちのビジネスモデルの性質上、本当の意味での価値向上に向けて伴走しづらい
これらは構造的な問題であり、SI 産業で働く個々人がどれだけ顧客視点を持って開発に取り組んでも、解消しきれない課題がある
諸外国では情報通信系の人材の過半数は IT 企業以外の企業に所属しているが、日本では IT 企業に所属する人の方が割合が多い (IT 企業が 72 %、それ以外が 28 %) → そのため、上記のような問題が特に日本では取り上げられやすい 事業会社が IT を特別な技術だと思っており、専業の IT 企業に完全に委託してしまう
それが成立するほど日本の IT 業界が成長し、機能し続けている
参考文献